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基本方針

 生態工学の重要性について(会長挨拶)    


東京農工大学農学部
船田 良

 生態工学会は、1988年8月にCELLS(Controlled Ecological Life Support Systems)研究会として発足しました。CELSSの頭文字のCは、当初「Closed」(閉鎖型)を表していましたが、環境変動や物質循環を制御する学問の重要性に合わせて、「Controlled」となりました。初代会長は日本学術会議会長の近藤次郎先生で、1992年に不破敬一郎会長に交代し、CELLS学会に名称を変更しました。1998年以降は、相賀一郎会長、新田慶治会長と続き、2001年9月に生態工学会に名称を変更しました。その後、玉浦 裕会長、大政謙次会長、竹内俊郎会長、木部勢至朗会長、北宅善昭会長と日本の学術の発展に大きな功績のあった会長が続き、生態工学分野の重要性を示しています。2021年からは、船田が第10代会長を務めています。

 石油や石炭など化石資源の大量消費や熱帯林の急激な消失などにより、大気中の二酸化炭素(CO2)濃度が上昇しています。CO2は温室効果ガスであるため、大気中濃度の上昇による地球温暖化の急激な進行や高温、集中豪雨、旱魃、季節外れの大型台風など異常気象の増大による地球環境や生態系の劣化や食糧不足などが危惧されています。今後、地球温暖化や急激な気候変動を防ぐためには、化石資源の利用を可能な限り抑制し再生可能なバイオマスの利用を促進するなど、カーボンニュートラルな循環型社会を構築することが重要です。また、地球環境の急激な変動に対応する新食糧品種の創出(育種)や栽培技術の革新なども重要なテーマです。循環型社会の構築は、持続可能な開発目標(SDGs)の達成やバイオエコノミーの推進にも貢献しますので、生態工学分野の重要性はさらに増大すると思います。

 学会の役割は、学会誌の刊行、年次大会の開催、支部や研究会活動、若手研究者の育成、会員の顕彰などを通して、学問分野や国・地域の発展に貢献することです。生態工学会は、学会誌として生態工学会誌(Eco-Engineering)を定期的に刊行し、最新の研究成果や情報を研究者や技術者へ発信しています。また、年次大会を毎年6月に開催しています。しかしながら、2020年初頭以降の新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大は、人と人とのコミュニケーションが基本である学会活動に大きな影響を及ぼしました。2020年と2021年の大会は、プログラム委員のご努力により従来の対面方式に変わる新方式(オンライン方式)で大会を開催し、学問の継続性や学生など若手研究者の成果発表の場を確保いたしました。2022年以降は、大会運営委員会・実行委員会の多大なるご尽力もあり、東京農工大学農学部(府中市)、高崎健康福祉大学農学部(高崎市)、愛媛大学農学部(松山市)で従来通りの対面方式で大会を開催出来ました。改めて、大会関係者のご努力に感謝申し上げます。2025年の大会は、千葉大学園芸学部(松戸市)で開催予定です。

 新型コロナウイルスの感染の影響により、オンライン会議や講義など新しい生活様式がスタートしています。生態工学会と致しましても、新しい環境や価値観に対応した学会活動を行い、循環型社会の構築に貢献し、世代を超えた情報交換や交流の場となるようにさらに努力する所存ですので、皆様からのご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。



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