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基本方針

 生態工学会長就任挨拶    


大阪府立大学大学院生命環境科学研究科
北宅善昭

 当学会は1988年8月に、CELSS研究会として発足しました。 初代会長の近藤次郎先生は当時、日本学術会議会長を務めておられました。1992年に不破敬一郎会長に交代、1993年に日本学術会議登録、CELSS学会に名称を変更しました。1998年以降、相賀一郎会長、新田慶治会長と続き、2001年9月に生態工学会に名称を変更しました。その後、玉浦裕会長、大政謙次会長、竹内俊郎会長、木部勢至朗会長と続き、2017年6月より北宅が生態工学会第9代会長を拝命しております。こうやって振り返ると、日本の学術の様々な分野を代表する先生方が当学会の歴代会長を務められており、改めて身の引き締まる思いです。

 CELSSはControlled Ecological Life Support Systemsの略語です。NASAを中心に、世界で人間の宇宙長期滞在を可能にするための技術開発が開始された頃に、日本でも一早く、関連研究者が集まって研究会を開始したのが当学会の始まりです。当初、頭文字のCは「Closed」(閉鎖型)を表していましたが、当学会の実質的な研究課題である環境や物質循環を制御する技術の開発研究に合わせて、「Controlled」となりました。 現在では、「制御型生態系生命維持システム」とも訳されています。

 有限な地球上での人の諸活動により環境や生態系の劣化が進み、人類の生存にも影響するような様々な問題が現実化するに伴い、地球環境や生態系に配慮した循環型社会への移行が模索され始めます。そこで、CELSS研究の当初の目標であった閉鎖系内での物質循環型生態系の実現のための学術活動は、その対象に地球上の諸問題解決を目指す課題も含めていくことになり、特に環境・生態系モニタリングや環境調和型の産業技術の開発研究などに守備範囲を広げ、生態系というキーワードを基軸とした「生態工学会」への名称変更に繋がっていくことになります。

 このように幅広い分野の課題解決を担う当学会も、他の多くの学会同様、会員数の漸減が実情です。当学会の特徴である広範囲の学問領域およびそれらの境界領域の学術をさらに発展させるためには、積極的に参画いただける会員をさらに増やす必要があり、そのためには特に、若手の研究者・技術者・学生が魅力を感じる学会にすることが重要です。魅力的な学会にするためには、以下のようなことを今以上に進める必要があります。例えば、研究発表、情報交換の場としてぜひ参加したいと思われるような大会や講演会の開催、当学会ならではの幅広い領域の多種分野をそれぞれ専門とする会員間の連携や協働を促進し、社会のイノベーションにつながる技術開発や研究の推進、情報発信・取得のツールとしての学会誌やウェブサイトのさらなる充実、それらのサーキュレーションの国際化などです。また将来に向けて、男女共同参画活動のさらなる充実や中高生への積極的な啓蒙活動も重要です。もちろん、研究交流の国際化も重要課題の一つです。元々CELSS学会の時代から、当学会員と海外研究者との交流は盛んに行われていました。また2017年7月には、タイ王国カセサート大学において、同大学と本学会会員有志との間で国際シンポジウム(Eco-Engineering Symposium 2017: Application of Technology for Sustainability of Natural Resource、日本側組織委員長:白石文秀副会長)を開催し、本学会の国際化の具体的企画として、最近としては記念すべき活動となりました。今後の海外との研究交流推進など、活動の継続が期待されます。

 以上、当学会のさらなる発展に向けて取り組むべき課題は多いですが、当学会がシニア、中堅、若手を問わず、皆様方の有意義な情報交換、交流の場となり、充実した活動を展開できる場となるよう、会員の皆様のご協力を今後ともよろしくお願い申し上げます。


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